【発想の勝利】(カノンとサガ)※元ネタ 「カノン」 「ダメだ」 「まだ何も言っていないのに…」 「その手の仮装をしたいと言うなら”新妻”で裸エプロン、”寒い夜だから”で素肌に着る毛布、”全裸でなければ問題ない”というテーマで素肌にどてらを羽織らせる」 「すまない、兄さんが悪かった」 【小宇宙と若さ良いとこどり】(カノサガ※DQ11ベロニカ&セーニャパロ) 「これで記憶もあの頃に戻っていたらと思うのは贅沢だろうか」 「うむ、私ではなくお前の記憶が退行すれば色々とバランスがとれるだろう。私も本当に小宇宙が戻って来たかどうか確かめたいしな」 「よせ、弟のお茶目な冗談だ、幻朧魔皇拳の構えを取るな」 そう言いながらも焦った様子も見せずに、子どもの身体に戻ってしまった自分を難なく抱えあげるカノンのニマニマとした表情が小憎らしい。 「っ、お前こそひょいひょいひょいひょいと私を抱え上げるな! 小さくなったからといって見くびられても困る」 「そんな可愛らしい声で凄まれてもな」 ああでもそんなお前も新鮮だと頬に口づけられ、あっという間に抵抗を封じられる。 「お前と俺は双子だからな。そんな姿の頃のお前の記憶は朧気にしかないから」 「っ」 新鮮な気分なのはこちらとて同じだった。13年の隔たりを経て再会した弟は自分と寸分たがわぬ姿になっていた。だからこんな風に自分だけの時が逆行し、双子の弟の腕にすっぽりと収まって抱き上げられるなど夢にも思わなかった。 「いつ元の姿に戻るかは判らんが、ちゃんとお前を守るから安心しろよ」 ぎゅ、と軽く抱きしめられ囁かれる声はとても優しく、愛しさに満ち満ちていて。 「っ、愚弟め、私も今言ったはずだ。こんな姿になったからといって見くびるなと」 守られるだけじゃ性に合わない、私だってお前を守る。 そんな双子の兄の真意を言外に汲み取ったカノンは、改めてサガの記憶も自分の記憶も退行しなくて良かったと心から感謝し、改めてよろしく頼むという意味を込めて、地面にそっと下ろした片割れの額に自分のそれをコツリと合わせたのだった。 そんな双子を遠巻きに眺めているのは一応の勇者・ミロとその相棒のカミュ。 「ふむ、あれがサガの弟のカノンか。なるほど、サガが心配して探し回るのも無理はないな」 「…俺はその他諸々にツッコみたい気持ちでいっぱいなんだが」 クールを装いながらも熱血だが時折どこかずれている部分を見せる相棒と新たに仲間になった色々と癖のありそうな双子に、これから先の旅が思いやられ、思わず遠い目になるミロだった。 【布団命な】(カノサガ) 「サガよ…」 「んー」 「外を見てみろ、久しぶりのいい天気だ」 「…そうなのか?」 「そうだ」 「ふーん…」 「そして俺は非番だ」 「しってる。きのうきいた」 「…そこまでわかってるなら話が早い。布団を干すからさっさと起きろ」 「…やだ」 「貴様…、そんな可愛く布団を両手で持ち上げる28歳がどこにいる!しかも寝ぼけてるのか疲れてるのかその両方か舌足らずな話し方で俺を誑かすつもりか!更に言えばそんな安心しきった顔でふわふわと幸福そうに笑うなああもうあざとい俺の兄さんマジあざと可愛いよし決めた俺も今から寝るどっちの意味で寝るかは今から決めるからサガよそこちょっと詰めろ」 「ん、わかった、おいで」 何やらベッドサイドでワーワーわめいていたと思ったら結局布団に入ってくる弟の気配を感じ取り、サガは素直に布団を捲り上げる。 「兄さん本当にいつも思うんだが何故お前はこんなにいい匂いなんだ?そして何でこんなに滑らかな抱き心地なんだああもう本当に天使としか言いようがないほど俺の兄さん天使だわ」 入り込んで来た途端に思いきり抱きしめられくんかくんかという音と共に、再びわーわー言いだしたカノンにサガはほんの少しだけ眉をひそめた。 心地よい日差しに包まれて温かい布団での二度寝はまさにこの世のエリシオンである。だがいい加減一人きりで眠るには少々寂しく思っていたところだった。そこに小言を言いながらやってきた弟を、自分でもあざといくらいに演出し、結果的には布団の中に誘い込むことには成功した。なんだかんだ言ってカノンも疲れているのだし、お互い肌寒い日々を送っていたのだから、こんな風に一緒に惰眠を貪るのも悪くはないと思ってのことだった、のだが。 「かのん…すまないがちょっと静かに」 「このままただ寝るだけじゃなくて性的な意味で寝てやろうと思ったけどこんなに神聖な清らかさを持っていたら穢せないじゃあないかくそっくそっ天使だけじゃなくて聖母属性も持ってるとか本気で反則だぞお前」 思いの外カノンは疲れているようであり、共寝するよりは一人で寝かせた方が良かったかもしれないと、微睡みが訪れている故にぽわんとする頭で考えたサガだったが、今更この温もりを手放すのは惜しい。 仕方がないのでよく喋る抱き枕だと思うことにして、尚も一人で煩悩を垂れ流し続けている弟の身体にぎゅっと腕を回した後、抱き込まれている胸の中に頭を擦りつけた。 「…きがすんだらお前も寝なさい」 眠気に支配されているため聞こえるか聞こえないかの声で呟いた後、頭上から聞こえてくるカノンの声をまるっと遮断し、弟の心音だけを聴くことに集中する。 とくん、とくんという優しく安心できる一定のリズムに包まれた甲斐があって、サガは三度寝の世界に入門することに成功する。 ひとしきり興奮し終えたカノンが眠りの中へ引き込まれるのは、そんな兄の無邪気な寝息を聞きつけたその一瞬後のことであった。 【ツッコミ不在】(カノンとサガ)※元ネタ 「カノン、マッチ売りの少女とはどんな話だったか?」 「あるところにブツが捌けずに困っている売人がいた」 「…そんな話だったか?」 「売人がブツを燃やすと煙が出て、幻覚を伴う多幸感を得た」 「幻朧拳のようなものか?」 「神が見える!神はここにおわすぞ!」 「女神かポセイドンか、はたまたハーデスか。気になるところだ」
(2017/11/28)
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