「どう、だった…?」 互いの想いを伝えあった後、すぐに睦合った初めての夜。 ぐったりと俺の隣で身を横たえていたサガが、おずおずと顔を上げて聞いてくる。 嬉しさや気恥ずかしさなど感じ入る余裕などなくただがむしゃらに互いの想いを確認し合った後は、熱が引いていけば少々の冷静さが戻ってくる。 そこで初めて、俺はここに至る経緯を振り返る余裕を持てた。 言い訳になるかもしれないが、俺としてはもう少しだけ待つつもりだった。 どちらが上になるか下になるかはひと悶着あるとは思っていた。愛があればどちらがどのポジションであるのかは関係ないと聞くが、俺としてはそこはどうしても譲れないラインだった。 この手で余すところなくサガに触れて乱したい。誰にも見せられないその表情すらも愛しているのだと、三度の命が潰えるまで傍にいるのだと伝え抜きたい。 拒まれる覚悟はしていた。頭を下げたところでこの兄が折れないかもしれない可能性も考えてはいた。 そうなったらそうなったで挿入はせずとも気持ちよくなる方法はいくらでもあると腹を括り、サガを抱きたいと叫ぶように告げた。 すると、今も昔も天使でしかないこの生き物は、口づけの後、俺の身体を引き倒し、終ぞ見たこともない最高の表情で誘いをかけてきたのだ。 『お前がそう望むなら…。いいや、違うな、私もそう、望んでいた』 『…だから…抱いて、欲しい…、私のカノン…』 神を誑かした俺を誑かせるのは、後にも先にもこの兄だけだと心底思い知らされた瞬間だった。 大胆に誘いをかけて交わり合ったにもかかわらず、その身体に強いた負担は相当のものにも関わらず、冒頭の質問を投げかけ、じ、と不安そうに見上げるサガの表情は真剣そのものだ。 全く、大胆なのか繊細なのか良く分からない。誰よりも清らかで豪胆なのにもかかわらず、俺の前では良くも悪くも鳴りを潜める。 そんな部分もひっくるめてこの兄が愛しくてたまらない俺も相当なものだと苦笑しながら、汗の引きかけたしっとりした高貴な海の色をした髪を柔らかく撫でた。 「どうも何も…良かったに決まっているだろう?」 「え」 「え?」 そのままの意味でそう伝えると、一瞬狼狽えた後に一気に顔を赤くするサガの様子に思わず俺は固まった。 「サガ?」 「あ、いや…そういう、意味ではなく…」 いつになく歯切れの悪いサガに対し、思わず悪戯心が湧きあがった俺は、再び髪に手を差し入れ、露わになった耳元に、そっと顔を寄せていった。 「あっ…!」 「サガ? どういう意味だ?」 そのまま囁けば、あえかな兄の声が漏れる。 大事にしたいと思ったはずなのに、抱えていた想い全てを伝えたと思っていたのに、サガに対する想いは尽きることなく湧き出てくる。 「どういう意味かって・・・それは・・・っ」 その先の言葉を躊躇うサガに、俺はかぷんと耳に歯を立てる。 鳴かぬなら 鳴かすまでだ 我が天使(字足らず) 「っ、だから・・・! お前の具合は悪くはないのか・・・?」 形のいい耳をもっと堪能しようと伸ばしかけた舌が無意識のうちに引っ込み、今度は俺が面食らう番だった。 「は?」 今し方、サガと繋がり、サガの中に入り最高の思いをしたばかりの俺のどこの具合が悪くなると言うのだという俺の表情を見たサガが、観念したように若干視線をそらしながら告げ始める。 「その・・・本来ならば挿入する器官ではない場所にいれたのだ・・・。私はそれなりの負担がかかると覚悟はしていたが、お前のおかけがさほど負担はない。だがお前はどうだ? イレギュラーな場所へ繋がったことで、お前に負担がかかるのは私の本意ではな・・・っ!」 最後の言葉を言わせる前に俺はサガの唇を奪っていた。 「ん、ふ・・・っぅ、ん・・・っ!」 見当違いな気遣いだとは思うが、堪らない気持ちを抱かずにはいられない。何なのだこの健気で美しく可愛らしい存在は?どうだったかと尋ねられただけでも愛しいと痛切に感じたのに、その本音を聞いた今、比べ物にならないほどの感情が胸の中に燃え盛っている。 「カノ…っ!」 矢も楯もたまらなず、天使の体を抱き起してかき抱き、髪をかき上げ露わになった耳元に唇を寄せる。 「どうだったかって? 決まっているだろう?」 言わなくても判るだろう、などという言葉は告げない。大切なことほど伝えあわなければ新たな絆は結べない。身を以て経験した13年前と、今、俺を想い告げてくれたことに対し、誠意をもって言葉を贈る。 「お前は、全部最高だ」 真正面から春の緑を介する綺麗な瞳を見てそう告げれば、一瞬だけ驚きに見開いた後、嬉しそうに笑うお前を見て、このカノンを本気で夢中にさせるセンスがますます磨かれていると新たに想う。 「ほんとう、に…?」 「ああ…」 真摯に頷けば幸福そうに微笑んだサガに、これ以上の想いはもう一度身体を重ねながら伝えていこうと決めた俺は、目の前の天使の全てを再び愛することに集中していった。 「ん…っ、ふぁ、あァっ…!」 深い口づけをもう一度交わし、首筋、鎖骨へ赤い花を散らすたびに甘い声を上げるサガの赤く色づいた胸の突起を、交互に口に含みながら愛撫する。 「んっぁ、あぁ、カノ、…っんんっ」 その間の片手はサガの背中を支え、もう片方の手はサガの後孔をほぐすために下へと辿っている。 最初の一回目はサガの負担を考えて避妊具付けて事に及んだため、潤いを足すために再び香油を纏った指でサガの内部を丹念に押し広げ続けていく。 「やぁ…っ!カノン、そこは…ぁあっ!」 「知ってる…、ココが兄さんのイイところだよな?」 「ひぁあぁ…!」 後孔に指を滑らせ若干浅い部分にある腹側のしこりをく、と指で押すのと同時、舌を絡めていた乳首も歯を引っ掛けながら強く吸い上げれば、きゅう、と指が締め付けられる。先ほど薄い膜越しで侵入を試みた感触よりもずっと熱いサガの内部をオレは痴れたように弄り続けた。 「カノ…ぁ、カノン…!」 指の動きに合わせて腰を動かす兄は淫らさよりも美しさが勝る。 「っ、くそ…っ」 先程出したばかりなのにもう下半身に熱が溜まる。避妊具をつける暇すら惜しいほど、直ちに兄と繋がりたくて仕方がない。しかしサガにかかる負担を考えるとそれは明らかなマナー違反だ。なけなしの理性を振り絞り、まだ数がある避妊具の箱に手を伸ばそうとしたところで、他ならぬ兄の手に拒まれ、オレは目を瞠った。 「サ…」 「いい、からこのまま…」 「しかし…」 きゅうきゅうと締め付けてくる指先から呼び覚まされる、先程味わった快楽。己の生身の分身をこの熱く蠕動する兄の中に突き入れればどれほど気持ちがいいだろうかと。いや、しかし…と考えるまもなく我が肉体はサガによって押し倒されてしまっていた。 「まてサガ!」 「いやだ…、待てない…。早く確かめたい…。カノンが本当に私で充足しうるか、を…」 言い終わった瞬間、はしたないとは判っている…と蚊の鳴くような声で気恥ずかしさから俯いてしまうサガに一瞬ポカンとしたが、一拍置いて一気に顔に熱が上るのが分かった。 何だこの可愛い生き物は(二度目)言葉だけじゃなく、体でも確かなものがほしいとかいじらしすぎだろう俺の天使は!! ここまでお膳立てされて喰わぬは男の恥だ。近年では据え膳に手を出さない方が美徳とされていると聞くが、こんな天使を見れば”美徳?何それ美味しいの?”状態だ。異論は認めない。 「なぁ、カノン…」 うっとりと瞳を潤ませながら腰を浮かせ、後ろを弄りながら俺のモノを飲み込もうとするサガ。 だが、如何せんはじめてなのだから上手く行かない。 下から眺める天使は絶景だが、流石に今日はこれ以上の無理は強いたくない。 「サガ…」 下からそっと手を伸ばし、サガの頬から耳へ、髪に触れる。 「む…」 慈しむ動きに俺の意図を察して少しだけむくれた表情を見せるサガだが、そんな顔をされても可愛いだけだ。 「すまん…、だが、今日は俺の好きにさせてくれないか?」 こんなにも愛しいお前に、先程もそして今からも、無体を承知で愛するのだ。だからせめて…と言う意味で伺いを立てれば、仕方がないなとサガは微笑む。 「だが次は私が好きにさせてもらう番だからな?」 「ああ、判ってるよ兄さん」 笑い合いながらキスをして、そっと俺はサガの身体を再度横たえた。 「ひ、ぁ、あ、あぁああっ!」 そっとサガの両足を持ち上げ、先ほどスキン越しで繋がった其処に、剥き出しの先端を宛がいゆっくりと挿入していく。 サガが先述したように其処は繋がる器官ではないため、受け入れる側にかかる負担は大きい。少しでも楽になるようにと兄の頬や唇に口づけてはいるが、グネグネと締め付けてくる内部の心地良さに、全てを持っていかれそうになるのを必至に紛らわす意味合いもあった。 「は、にいさ…あつい…」 目の前がチカチカ眩むほどに佳い兄の体内。自分でも驚くくらいに甘く、掠れた声がついて出る。 「ん、あ、ぁ…、わたしも、感じる…カノ、ン、を…」 そして俺の目の前には、予想以上の甘い声で囁きかける甘く蕩けきった表情の天使がいる。 生まれて初めて、理性が木っ端みじんに砕け散る音を聞いた。 「あぁっ! あっ、あんっ…あぁあっ!!」 もう歯止めなぞ効くはずがなかった。 生身の分身で深々と貫いた兄の最奥は柔らかく、穿つたびにきゅうきゅうと締め付けてくる。初めて味わうその快楽は、先ほどの交わりで、薄い膜越しであってもその先に待つものの得体の知れなさに及び腰だったことを心底後悔するほどだ。 「やぁあ、あ、そこ、だめぇ…っ」 無意識のうちに俺の下から逃れようとずり上がっていくサガの両足を改めて大きく広げ、折りたたんだ両膝の裏側に己の腕を差し入れた後、そのまま俺の方へと押し付けるように強く肩を掴んで、律動を開始する。 「あんっ、あっ、ああっ、カノ、ああっ!」 バチュンバチュンという肌と肌が激しくぶつかり合う音、ぐちゅっぢゅく、ぐぷ、という俺のモノがサガの中に出入りする激しい水音、その中に混ざるサガの悲鳴にも似た喘ぎ声はますます俺を興奮の極みへと昇らせていく。 大切にしたい 滅茶苦茶にしたい 慈しみたい 壊したい もっともっと、乱れ善がらせ狂わせたい 「あああああああっ!」 更にサガの腰を持ち上げて、両足が胸に付くほどに身体を折り曲げる。密着した体制で斜め上部から奥の奥に分身を突き立てては引き抜きまた穿てば、嬌声は遂に悲鳴へと変わり始めた。 「あぁあっ! やめ、カノ、ひぅっ、はげしぃ、 ふかぃいぃ…!」 懇願とすすり泣きが入り混じったサガの声が聞こえるが、それを聞き入れられる余裕なぞあるわけがない。 確かに大切にしたいと、慈しみたいと先ほどまでは強く思ったはずだった。だが今はただこの天使を貪り尽くし、もっともっと泣かせてやりたいという一心で、最奥部を掘削し続ける。 「ああ、あ、あ、ああっ! ノン、っ、も、ぅ、もうダメェ…!!」 大きく体を震わせたサガが、俺と自分の身体とで両ばさみになった雄から精を溢れさせる。それと同時に後孔も収縮し、限界までにねじ込んだ分身に得も言われぬ気持ちよさを与えてくる。 「ふぁ、ぁ、ぁ、ぁん…」 奥の奥の更なる奥に欲しいと強請るかのようなの締め付けに逆らわず白濁を吐き出せば、孕むことはなくともサガの全てがこのカノンのものであるという充足感に全身が満たされる。 「は、ぁ…ん、ぁ、は、っんっ」 繋がったまま、己の下でくたりと身体を弛緩させて荒い息を吐くサガのあられもない姿をもう少しだけ見たい欲求はあったが、さすがにこれ以上無茶はさせられない。 「んっ…」 くぷ、と音を立て引き抜いた自身の後からあふれてくる体液を見てしまえば、またサガが欲しくなる。 「サガ…立てるか?」 「ん…、」 無茶はさせたくないと言った傍からの無体な仕打ちに後ろめたさをチクチクと感じながら勤めてその欲求に蓋をし、早く風呂場に行って中に出した精を掻き出さなければという意味でサガの身体に手を伸ばしたのだが、逆にその手を掴まれてしまい引き倒されてしまう。 「おい、サガ」 「すまん、もう少しこのままでいたい」 「え…」 再びサガの身体に覆いかぶさることになった俺の耳に届いた予想だにもしない言葉。 「もうちょっとだけ…感じていたいのだ…。激しく私を求めてくれたお前と、その証である名残を…」 「~~~~っ!!」 そっと腹に手を当てどこか幸せそうにはにかみながらそんなことを言われれば、俺は完全に撃沈するしかない。 平素は天使、寝台では堕天使、事後は聖母のようなこの生き物が俺の双子の兄で伴侶であるという事実は嬉しくもあるが、同時にまるで勝てる気がしない。 これはもう持って生まれたセンスなのだと、先ほど実感したばかりの真実を改めて突き付けられた俺は、せめてものプライドで顔の赤みを上らせないようにひたすら素数を数えながら、それでもサガの身体を手放さず抱きしめ続けていたのだった。
ここのところ沈静化していたカノサガEROターボが一気にかかり、だいぶ前に書いて放置していた診断結果のお題に肉付けした話です。この話はだいぶ前に出来上がっていたのですが、どうにもアップする気力がわかず今の今まで放置しており、何となく先日推敲しようとフォルダを開いた瞬間、脳内愚弟が「俺と天使の甘々イチャイチャドロドロな第二ラウンドを書けOAMT!!」と喚きだしました\(^0^)/ 恐らく書き終えてからアップしなかったのは、我が脳内愚弟がエロターボがかかるまでアップするモチベーションにブレーキをかけていたからだという結果に落ち着きました。さすがOAMT始祖の愚弟。精神系攻撃はお手の物ですな(*゜∀゜)b ちなみに元ネタはこちらの診断結果である”サガと夜の営みをした感想『 センスあるなと思った 』(28歳男性)”からw 相変わらず中の妖星さん※当家のレムさんは診断結果の妖星さんという設定が仕事をし過ぎて噴きました(*゜∀゜)b (2020/02/13)
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