「はぅ、ぁくっぅ、うっ」 背後から的確に貫かれてミーノスは啼く。肌がぶつかる音が聞こえるたび漏れ落ちそうになる声を、シーツを噛んで耐えるミーノスに、ラダマンティスは諌めるように、それを外す。 「~~っ、くぅ、んっ、は、ぁぅ」 そしてそのまま挿しこまれる指に思うさましゃぶりつくミーノスの歯の感触が痛くもあり愛しくもある。それを堪能するかのようにラダマンティスは武骨な指でミーノスの口腔をまさぐったり、舌先を摘まんだりして返ってくる反応を楽しんでいた。 「く、っ、こ、の…っあっ!」 シーツの海に押さえつけられながら穿たれて、快楽で力が入らない上に、上がる声すら抑えさせてくれない背後の翼竜を睨めつけようとした最中、不意に指が抜かれ、そのまま右肘を掴まれて上半身を持ち上げられる。 「や、ぁっ、あっ」 右腕の自由を封じられながら、脇の近くに唇を落とされてミーノスが戦慄く。丁度、グリフォンの冥衣のショルダーで覆われる二の腕のあたり、コズミックマリオネーションを駆使する際にあらわになる柔らかい部分を強く吸い上げられる。 「くっぁっ!」 きつく目を閉じてぶるりと震えたミーノスを、ラダマンティスはそのまま自分の膝の上に座らせる。 昂ぶる熱の先端で最奥部に潜む最も感じる部分を抉られる快楽に、高く甘い鳴き声を上げるグリフォンの耳に、翼竜の唇が触れた。 「あ、ぅ、ラ、ダ…ああっ」 快楽に霞む頭の中で、口づけられると予感するが言葉にならず、いやいやと子供のように頭を振るミーノスにラダマンティスが苦く笑う。 一日以上離れ離れになる代わりに課せられた条件。一部分にキスをしても良いけれど、それ以外はダメだという何とも我儘で殺生なそれ。これで身体を求めることも咎められてしまえば、次にミーノスを抱いたときに間違いなく抱き潰してしまうことだろう。 目の前でのけ反るなまめかしい首筋。月の光よりも美しくしっとりとした銀の髪。それをかき上げれば露わになる雪よりも純白な背。そのどれにも刻印を刻めない分をぶつけるかのように、ラダマンティスの行為は自然と激しくなる。 「愛してる…ミーノス。」 荒々しさすら覚える行為なのに囁かれる声はどこまでも熱を孕み、艶っぽい。ガクガクと揺さぶられる身体はその声に呼応するかのように、ラダマンティスの雄をきゅうきゅうと締め付ける。 「や、だ…ぁっ、ラダ、…ティス…ッ、いやぁ…っ」 キスの代わりに贈られる掠れた低い声。そのウィスパーボイスに過剰に反応してしまう身体。 「何故、だ?キスが出来ない、ならそれ以外で伝えるしか…っないだろう?」 自分の言葉に、動きに、健気なほどに翻弄されるミーノスが堪らなく愛おしい。惜しむらくは、その愛情を伝えるためのキスが出来ないため、向かい合った体位でミーノスの表情を臨めないことだった。 「あぅっ、ん、あ、あ」 だからラダマンティスは後ろからミーノスを愛する。腕から脇に朱の痣を散らした後にそれでも足りないキスの分は、普段は髪の毛に隠されている薄紅色の耳元で囁きかけながら、ゆるゆるとその身体を揺すりながら、蜜を零す中心に手を伸ばして刺激を与えていく。 「ひっ…ぁ、あぁああ…っ!」 張りつめていた糸が切れたように絶頂に達していくミーノスの耳に、最後の言葉を吹き込みながらラダマンティスもその体内に欲情の泡沫を弾けさせていく。 「――…」 耳に残るラダマンティスの声とその言葉は、身体中にキスをされる時と同じくらいの快楽をミーノスにいつも齎せる。 肌の上には残らないが、耳の奥から脳髄の芯まで甘く痺れさせるその”キス”と腕の刻印は、ミーノスの身も心をいつも満たす。 だから、それ以外の箇所にはいらない。 これ以上の、”キス”は命取りになるからと、ミーノスはラダマンティスを柔らかく牽制するように、その頭に手を這わせた。さて、その他は狂気の沙汰か――…?
キスの日の裏バージョン・ラダミーでした。 それ以外のキスが狂喜の沙汰なら、セックスもキスと捉えてもいいはずという訳の判らない自分理論で書き始めましたのを覚えています/(^0^)\ (2017/09/12)
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