Egoist Marionette Ⅱ バドがシドの前から姿を消して早五日が経とうとしていた。 あの時・・・、優しく口付けてくれた兄が、突然自分を殺そうとしたこと。そのときの瞳に宿っていた光は、かつての自分に向けられていた憎しみの思い。 ――どうして・・・? 考えれば考えるほど、兄にとって自分は何なのか、今までの関係は虚像でしかなかったのか、そんな思いばかりがよぎって行く。 浅ましい――!! 「は・・・ぁっ・・・。」 火照りだす身体、服の前を開き、胸をはだける。 「ん・・あぁ・・・ぁ・・・!」 自分と瓜二つの兄に毎晩施された愛撫を自らの手で再現していく。 昂りだすソレにそっと手を沿え指を絡ませて、そのままゆっくりと動かし始める。 「やっ・・・あぁっ・・・兄・・さぁ・・っ!」 すぐ後ろにバドの吐息と気配が感じられるくらい生々しい快楽が波打ってくる。 バドの声、体温、全てを包み込んでくれるその存在が全て愛おしい・・・。 「あぁ・・・んっ・・・あ・・・ぁあっ。」 脳内でバドを想えば想うほど、シドの身体は快楽に溺れていく。 そのまま片手は己自身を扱きながら、もう片方の手を口元へ持って行き、二本の指でそっと唇に触れ、そのまま口内へ侵入させた。 「ん・・・んぁ・・・。」 瞳は閉じられ、ピチャピチャと淫らな音を響かせながら、シドは自分の指に唾液を絡ませる。 「はぁ・・・ぁっ・・。」 そしてベッドの上に仰向けになり、少し足を開かせて充分に濡らされた指を自分の固く閉じた秘所へとゆっくりと挿入させていく。 「んくっ・・・!」 ピクリと身体を震わせて、そのまま奥へと突き入れると、後ろの快感も得られ、更に身体は高まりだす。 もう、理性など残ってはいなかった。 羞恥心と浅ましさを踏みつけにして湧き上がってくる欲情は兄への狂おしいほどの想い。 閉じられた瞳からは、先ほどとは違う涙が零れ落ちてくる。 「ふ・・・あっあぁ・・・!にいさん・・・っ!」 びくびくと身体を仰け反らせ、白い身体を赤く染め、シドはバドを追い求めていた。 いないはずのバドがそこにいるかのような錯覚を覚える。熱く押し入ってくる彼自身、手を伸ばせば触れられるほど、抱きしめられるほど近くにいた兄。 今だけは・・・、幻の中の彼に抱かれてそのまま達したい・・・。――。 「ひぁっ・・・や・・っ!」 前と後ろの快楽で、シドの身体は大きく打ち震え、開放をの時を迎えていく。 「バ・・・ドッ・・・はぁっ・・・ぁあぁあああっ!」 白濁した自分の体液が飛び散る。指を引き抜きぐったりと身体をそのままに横たえ、荒い息を肩で吐く。 「バド・・・。」 いくら呼んでも彼の人には届かない。熱の余韻が残る身体を抱きしめてくれた腕も、髪を撫でるその手ももう二度と戻らないのだろうか・・・?―― 荒い呼吸が何とか収まったシドはそのまま浴室へ向かった。覚醒してきた意識が嫌悪感を取り戻してきていたのだ。 To Be Countenued・・・。 |