二人で一つ、隣り合う君と僕






二人で一つ、隣り合う君と僕

この日、ワルハラ宮に大量のさくらんぼが届けられた。
あて先は日本の女神から。
かつての聖戦のお詫びと親交を込めて、グラード財団が所有する農園で取れたと言う新鮮な果物を送ってきた・・・そうだ。

この思いがけない贈り物には、ヒルダ様やフレア様や女官達・・・、とりわけ甘い果物が好きな女性に大いに喜ばれたが、送られて来た量がとにかく半端ではなかった。
彼女達が全てを食い尽くすまで・・・三食のデザートに効率よく消化して行っても、およそ半年はかかる程の量。


これは新な聖戦を勃発させんがための女神からの宣戦布告か?

アスガルドを守護する神闘士達全員が、そう思ったのは無理もないことであろう・・・。



「大体、こんなに食えるかっての!トールならともかくとして・・・。」
「兄さん、そんな事を言っては・・・。」
そんな訳で公平に分けた・・・それでも紙袋にいっぱいに詰め込まれたさくらんぼを両手に抱えて自室へ引き上げる双子。
「せめて酒のつまみになるものだったらな・・・。」
と、バドがぼやく。

神闘士八人・・・、その他に近衛隊員にも分担して、ようやく一人当たり一日一回のデザートとして食していくと一ヶ月単位でさばけるまで落とした事から、その凄まじいまでの量は想像を絶するであろう。

「あ、でも、さくらんぼはワインにも使えますよ♪」
明日厨房へ持って行きましょうか?とベッドに腰を下ろすバドの前にある、小さなテーブルの上に硝子陶器に移したさくらんぼを置いたシドはその隣に腰をかけた。
「いや~・・・、それは、他の奴等も考える事じゃないか??」
どっちにせよ、向こう数ヶ月はさくらんぼ責めだなと、ため息を吐くバド。
「ま・・まぁ、とりあえず頂きませんか;?」
シドが、盛って来たさくらんぼを一つ手に取り口に運ぼうとする。
二つ並んだ熟れたそれの片側を口にしたと同時・・・。
「ン・・ッ!ぐ・・・!!」
突然バドが顔を近づけてシドが手にしていたさくらんぼを口に含んできた。
いきなりの事で驚いた声と、一気にさくらんぼを飲み込んでしまい、喉の奥に果実の欠片が突っかかり、咳き込んでしまうシド。
「ちょ・・・ちょっと兄さん・・・!」
「ん~?♪」
何食わぬ顔でむぐむぐとさくらんぼを頬張る兄に、シドは抗議の声を上げる。
「何で人が食べているのを横取りするんですか!?」
「や・・・、何かお前の食べているのが一番美味しそうだったから♪」
「な・・っ!(///)」
「ほら、じゃあお返し。」
悪びれも無くさらっと告げる兄と、顔を赤らめてしまう純情な弟。
バドは、二つ連なったさくらんぼを手に取り、先ほどのシドと同じ様に片方だけを口にして、もう一方をシドに食べるように勧める。
実と実を繋いでいる細くて短い茎を支えながら甘い実を口に含む。
キスが出来そうなほど近づいている二人の顔。
と、そのとき既に自分の分を食べ終わっていたバドが、まださくらんぼを頬張っているシドの頬に両手を添える。
「~~~っ。///」
顔を真っ赤にして上目遣いで睨んでくるシドの視線を受け取り、にんまりとほくそ笑むバド。
観念したように、シドは兄の首に手を回して、互いの唇の距離をゼロにするため、バドの唇に口寄せた。
「ん・・・む・・・。」
バドの舌が、まだ口内に残っている果実を探そうとするかのように侵入しだし、いつもよりも甘い弟の舌を捉えて味わうように絡めだす。
「けほ・・・っ。」
キスを中断した時、まだ喉の奥につっかえていたのか、シドが軽く咳払う。
「大丈夫か?」
そう言って、悪ふざけが過ぎたと感じ、少し落ち込んだ顔をするバドにシドは微笑んで、もう一つさくらんぼを摘んだ。
「もう一回w」
そう言うと同時、シドが二つ連なるさくらんぼの片実を銜えると、バドもまた静かにもう一つを口に銜え出す。
しばらくしないうちに、ほとんど食べられていないさくらんぼはシドの顎を伝い、静かに滑り落ちていく。
今度はバドの方からキスを仕掛け、互いの舌を激しく絡み合わせながら柔らかい寝台の上に弟の身体を押し倒していった。


「ふ・・・ぅ・・・。」
三度目のキスで、もう歯止めを効かせるつもりは更々無いバドは、シドの口内に残る果実の甘い蜜を全て味わいつくすように丹念に舌を侵入させていく。
「ん・・・ん・・・。」
シドの方も、半開きになった唇から兄を受け入れると同時に、バドの舌を吸い上げる。
ちゅ・・・、くちゅ・・・と、静かな部屋に互いの舌を貪りあう音が響く中で、二人は甘い口付けに酔いしれていた。
唇を合わせたまま、バドはシドの上着を夜着をはだけさせると、その中に手を侵入させていく。
「ん・・・、んんっ!」
白く滑らかな素肌を指先で滑らせて行くと、硬く尖った胸の突起に辿り着く。
「んぅ・・、ふ・・っぅんっ」
そのまま優しくその突起に触れ、指の腹でこねるように押しつぶしては弾いたり、指の間に挟んで転がしたりと、ゆったりとした愛撫を加えていくと、くぐもった甘い吐息が漏れ始め、バドの口付けに吸収されていく。
「ん・・ぁ・・あぁっ」
呼吸困難になりそうなほど、長く口付けていた唇を離すと、細く濡れた儚い糸が二人を繋いで消えていく。
そしてその唇は弟の胸に辿り着き、赤く色づく熟れた果実を味わいだす。
「あぁ・・・っ、あんっ!」
舌先で転がされては、甘噛みされ、更に唇で吸い上げていくバドのさらさらとした髪が、白い胸に落ちている。
くすぐったい様な、じれったい様な、まるで味わって食べるかの様なバドの愛撫。
そうするうちに段々と勃ち上がってくるシド自身が、丁度上に居るバドの下腹部に触れるのを感じたシドは、ほんのり色づいた顔を更に赤らめて、バドの頭にあった手を、彼の肩に持って行く。
「あぁっ!」
蕩けるほどに舐っていた突起から移動して、反対側のそれを口に含んだまま、シドの下腹部に下りていったバドの手が、下着越しに掌で中心部を包み込むと、シドは甘く掠れた声を上げてビクンっと身体を震わせた。
下着の中に大きな手を忍び込ませ、先走りの液を滴らせるシド自身に長い指を絡ませて、ゆっくりと上下に動かしだす。
「んぅ・・・、ぁあんっ・・・!」
胸と下腹部を同時に刺激されて、シドの身体は益々薄紅に火照っていく。
「シド・・・。」
胸から顔を離したバドは、今度はシドの耳元へと移動し、低くそこで囁きかける。
「ん・・・んあぁ・・っ!」
囁いた唇が、ぱく・・・と、柔らかいシドの耳を食べるように口に含む。
どんどんと忍び寄る快楽に浮かされて、シドは赤く染まる頬に涙を伝わせて喘ぐ。
「可愛いな・・・、ホントに。」
身を起して、見下ろしてくるバドにくすり・・・と笑われて、ますます顔を赤らめるシド。
そんな弟の両足を僅かに広げて軽く曲げさせて肩に引っ掛けると、バドの顔がその間に埋められていく。
「あぁーっ」
すっかり勃ちあがったシド自身を先ほどと同様、ゆっくりと味わうように口に含んでいく。
「や・・ぁ・・あぁ・・・んっ!」
上体を起し上げ、両脇のシーツを強く掴み、迫り来る快楽をやり過ごそうとする。
片手で根元を支えて微弱な振動を加えながら、そこから舌を這わせて、先端まで辿り着いては、唇で先を擦る様に刺激しては吸い上げる。
時たま先端を舌先でくすぐっていくと、やがて濃厚な液がトロトロと溢れてくる。
「あ・・ぁ、や・・・・っもう・・・!」
弟の切なる声を聞きいれながら、根元の手の動きを徐々に激しくしていきながら、舌先で刺激していた先端を軽く噛んだ。
「ひ・・・ぃ、っあぁああ!」
目も眩むような快楽に襲われて、シドはビクビクビクっと身体を撓らせて達し、兄の口に欲望を吐き出した。

口の中のシドの白い残骸をごくりと音をたてて飲み込んだバドは、更にその奥の秘所を、舌と指先でこじ開けていく。
「あ・・・ぅ・・・。」
皮膚の薄い其処を、舌先で触れられた途端に、シドの腰は浮き上がるほど跳ね上がる。
その一瞬を付いて、バドは指を一本そこに銜え込ませた。
「あぁ、・・ぁあ・・・っ」
狭い入り口が舌と指で押し広げられ、柔らかい内壁に触れるうちに段々とそこはほぐされていく。
バドは舌を引き抜いて、向かい合う形でシドを抱きしめる。
「ん・・・ん・・・。」
中に進入している指はそのままで、僅かに上向かせて何度目かのキスを与えてやる。
その間に、長い指は一本また一本と増やされていき、既にそれ等はシドの感じる部分に辿り着き、ひっきりなしに責め続けている。
その刺激に、唇を戦慄かせながら、潤む瞳で縋りつくように見上げられたバドは、にっこりと笑い額に口付けを落とすと、指を引き抜きいて身体を押し倒していく。
「いただきます。」
「・・・どうぞ・・・。」
そう言って幸せそうに微笑みあう双子。
もう一度キスを落としながら、バドはゆっくりとシドの中に押し入っていった。

「は・・・あ・・・っあぁ・・・!」
荒い息を吐きながら、バドは激しく腰を動かし、シドはバドの下半身に両足を絡めていく。
繋がり合いながらも、更に密着を図ろうと、シドはバドの首に腕を回し、バドは、シドの白い素肌に自らの朱の刻印を首筋、鎖骨、胸板と余す所無く散らしていく。
「ん・・・あぁっ!に・・・さんっ」
最奥へ最奥へと兄を誘いながら、激しく突かれてシドは一際高い悲鳴を上げ始める。
そしてバドも、しっかりとシドの身体を押さえつけながら、奥の奥まで繋がろうと、自身をねじ込んでいく。
互いが愛しくて愛しくて仕方がない二人。
「あ・・・っ、あぁあ・・・も・・・駄目っ・・・!」
切なげに眉を寄せて、互いの身体に狭まれた自身からびくびくと熱を解放するシド。。
その際のキツイ締め付けで、バドもまた、シドの内部にたっぷりと情欲の証を注ぎ込んでいた――。


「さくらんぼと言えば・・・。」
二人とも素肌のままベッドへと潜り込み、気だるそうに横たわる弟に腕枕をしているバドが、思い出したように言った。
「ん・・・?」
「茎の部分を結べる人間は、キスが上手いと聞いた事があるんだが・・・、折角だしやってみようか?」
と、先ほど食べていたさくらんぼの茎を取ってこようと身を起そうとするが、やんわりとシドの手がそれを止めて、耳元に顔を寄せてそっと囁いた。


「そんなことしなくても・・・、貴方が一番だということは、私が身を以って知っていますから・・・。」


くすくすと笑みを含んだ、優しい甘い声が、バドの耳の中に入り込む。
「・・・・馬鹿・・・。」
珍しく耳まで真っ赤に照れたバドは、その顔を見られないように、シドをきつく抱きしめて、自分の胸の中に埋めてしまう。

兄の滅多に見られない表情を見ようとしばらくはもがいていたシドだったが、やがて身体を包み込む体温が齎す心地良い眠りにゆっくりと落ちていたのだった――。




もう一回♪