I LOVE YOU・・・ I NEED YOU・・・

I LOVE YOU・・・ I NEED YOU・・・






貴方が私に囁く度に、たまらなく不安になる・・・。


双子の兄-バド-と共に暮らし始めてから、しばらくが経つ。
長い間、引き裂かれていた時間と、兄弟の隔たりを取り戻すために。

でも私は、バドと生活をしていく内に、彼を“男”として見ている自分に気がついた。
こんな想いは許されるはずはないと、何度も気持ちを打ち消そうとした。
だけど、“弟”として接している間にも、どんどん兄への想いは募るばかりだった。
これ以上、気持ちを欺くことなど出来なくなったある日、全てを捨てる覚悟で、バドに想いを伝えた・・・。

きっと気持ち悪がられると思っていた。そして、もう二度と兄弟としても歩いて行けないと思っていた。

でも、バドの口から出た言葉は・・・。

『俺だって、お前と同じ気持ちでいた・・・。』

正直、信じられなかった・・・。まるで自分にとって都合の良い夢を見ているのかと思った。
でも、初めて抱かれたとき、これは夢なんかじゃない、現実なんだと自覚した。
幸せな、醒めない夢・・・。 夢のような現実・・・。
だけど・・・・。

「シド。」
不意に名前を呼ばれて振り返ると、そこにはバドが、ワイングラスとボトルを持って立っていた。
「飲まないか?」

そう言って、自分に向けられる優しい微笑み。
そんなバドの顔を見るだけで恍惚感に飲み込まれる。
誰にも見せたくない・・・。

「そんなの・・・。」
私だけを見ていて・・・。

「そんなの良いから・・・、早く・・・して?」
バドの身体に縋り付き、首に腕を回してそっと耳元で吐息を込めてささやきかける。
浅ましいまでの欲望。 だけど私はずっと餓えている。


バドの手が、シドの後ろに回されたのは、すぐのことだった。
それを合意と受け止めたシドは、僅かに上にある兄の唇に自ら口付ける。
最初は触れ合うだけのそれだったが、シドの舌がバドの唇をこじ開けて侵入を始めると、バドもさすがに焦りだす。
「ん・・・ちょ・・・ちょっと待てっ!?」
そのまま舌を絡めだそうとする弟の顔を両手で包み込み、一旦引き離す。
「どうしたんだ?」
いつものシドらしく無い・・・そう思いつつ、目の前にいる愛おしい弟の顔を見ると、すでに上気した頬と潤んだ瞳で、自分を見上げている。
そんないつもと違うシドに、バドは戸惑いを隠せないが、シドはそんなことにはお構いなしに、バドの衣服に手をかけて脱がせようとする。
「~ッシド?!」
貞操の危機を感じたバドは、何とかそれを阻止しようと抵抗を試みようとしたその瞬間、今度はくたん・・・と半分はだけたバドの胸に顔をうずめて、震えるような小さな声で呟いた。
「お願い・・・。」
そんなシドの様子と、素肌に感じる体温に、バドはこれ以上詮索するのはやめて、そのまま共に寝室へと向かった。

「ん・・・んぅ・・ッ。」
苦しげに表情を歪めるシド。その口の中には、兄のモノが頬張られている。
「シド・・・ッ。」
バドもその奉仕に、快楽の色を浮かべながらも、愛おしげに弟の髪の毛を撫でてやる。
自ら望んだこととは言え、だんだんと膨張していくソレに、喉の奥が抉られる苦しさに、シドの瞳からは 無意識の内に涙が零れ落ちる。
「シド・・・、辛いのなら・・・。」
その様子を見たバドは、中断するように促そうとするが、シドは、そのまま目を瞑ったまま続行する。
慣れない、たどたどしい奉仕ではあるが、その懸命さに愛おしさが募る。
だが、シドの方もそろそろ限界だろうと察し、バドは口内から、そっと自身を引き抜いた。シドの薄く開いた唇からは、細く儚い濡れた糸が先端を繋ぎ、やがてそっとそれは消えた。

「シド・・・。おいで・・・。」
そう、優しく呼びかけるその声に、私はいつも不安になる・・・。
貴方が愛していると言ってくれる度に、幸福感と、不安に襲われる。
どうすればいい?どうしたら、何の不安も感じずに貴方のそばにいられるのだろう・・・?

「ん・・・ぁああっ・・・。」
甘く掠れた声を上げながら、向かい合う形で、シドはバドを飲み込んでいく。
腰を掴まれ揺らされ、与えられる快楽に酔ってしまえば、今だけは不安は忘れられる。
「あぁっ・・あぁあ・・・っ。」
ぎゅっとバドの身体にしがみ付き、自らもまた快感を得ようと、無意識の内に腰を揺らす。
「バド・・・。も・・っと・・・。」
いっそ壊して欲しい。
いっそ貴方無しで生きられない身体になってしまえばいい。

「あ・・・あああっ・・・!」
「く・・・っシド・・・ッ!」
軋むベッドの上で、二人はきつく抱きしめあいながら、互いに快楽を迎えていた――。

夜中・・・、バドは目を覚まし、横で寝息をたてているシドの顔を見つめていた。
「お前は・・・知らないんだろうな・・・。」
優しく髪を撫でながら、小さく呟く。
「お前が俺を好きだと言ってくれる度に、俺がどれだけ不安になるのか・・・。」
そして、閉じられている目蓋にそっとキスを落とす。
「いつになったら、何の不安も無く、お前のそばにいられるのだろう・・・。」

寝入ってるシドには聞こえる事のないバドの本心・・・。
限りなくそばにいるのに、見えない透明な壁で僅かに隔たれている双子。
それが取り払われるのは一体いつになるのだろうか・・・?

二人が暮らすその家は、まるで隠れ家の様に、白い雪に覆われ始めていた・・・。




戻られますか?