Softy at home-angelic‡S‡tonight・・・-



Softy at home
-angelic‡S‡tonight・・・-



――・・・・・・・・・。
首が痛くなるくらいに見上げた先に映っていたのは、一面に真っ青な天空。
物理法則を丸無視して、宙一面に碧いペンキをそれはそれは丁寧に、刷毛で万遍なく塗って伸ばしたかのような。
地面は真っ白な雪・・・と言うか、ふわふわとした感触が伝わってきて、今までに感じた事の無いほどに柔らかい大地を一歩一歩歩けど歩けども、足音はおろか一切の衝撃すらまるで毛足の長い絨毯の上の様に掻き消えていく。
――・・・つーか、ここどこ?
周りは一切の建造物も無いし、自然すらも無い、暑さ寒さも感じない一面360度。
ずっと青と白の色だけが広がっていて、はるか遠くに見える地平線に其の二色が交わっているのが辛うじて見えた。
――早く戻らないと。今日は早く帰りたくて、そうアイツにも言ったのに・・・。
と、そこまで考えてはたと気がつく。
ここが異世界と言うならば、一体自分はどこから紛れ込んできてそして何者なのだろうか?
そう思って、ふと手を眼下にかざしてみて見えたのが、五指のごつごつした指と掌だったから、まず人間であるのは間違いないだろうが。
――兎に角、帰らないと・・・。
一種の記憶錯乱に陥っていても、ここは自分のいるべき場所ではない、帰るべき場所には少なからず待ち人が居る、それだけは本能的に理解出来たので、他の事は歩きながらおいおい思い出すだろうと、一歩また足を進めようと、した。
――・・・は?!;
だがその時、白い雲の上の様な心地良い大地は、彼を取り込もうとしてか、胃袋の様に胎動を始めてゆっくりとその身体を沈めはじめて行く。
――ここは天上だと考えていたけど、底無し沼って言うオチか!;
オチとかなんだとか考えている間にも、ぐんぐんと沈下は休まる所を知らず、既に彼の腰辺りは白い綿の様な地面に埋もれ始めていく。
――・・くっそ・・・!何とか抜け出さないと・・アイツに・・・・!

バサァッ

――!?

と、その時沈んでいく身体をどうにかしようともがいていた彼の頭上に、羽音が聴こえたかと思うと、思わず顔を上げた彼の上に白い翼を持つ鳥の影が重なった。
その空の蒼に溶け込みそうで居て、しかしそこだけハッとするほどに美しい白い羽に思わず見惚れながらも、まだ地面に取り込まれていない右手をその鳥に向かって差し伸べる。
――あ・・・。
小さいその身体はゆっくりと形を変えていき、その姿は良く見知った・・そして、自分の帰りを待ちわびているであろう彼の像へと変化を終了させていた。
綺麗な自分と同じ夕日色の瞳と、さらさらとした頼りなげに細く煌めく緑青色の銀色の髪と、線の細く清廉な顔・・・何もかもが自分が好きな彼の姿だが、ただ違う所と言えば、鳥の状態に生えていた白い羽が、そのまま背中に白い翼として大きく広げている。
――あぁ、迎えに来てくれたんだ・・・。
この世界において、自身の記憶がひどく曖昧であっても、見上げた先に居る純白の彼に大してはとてもとても大切な存在で、向こうの世界でいつまで経っても戻ってこない自分を案じて迎えに来たんだなと言うのを直感で覚る。
――・・・・・一緒に帰るから、引っ張ってくれないか?
静かに下りてくるのは、白く滑らかな線を描くたおやかな掌。
その手と己の掌が重なった瞬間、青と白の国は、眩い溢れんばかりの白い光と変わり、その網膜を焼ききらんほどに輝きだしていく。


「・・・さん、兄さん・・」
「・・・あ、れ?」
うっすらと瞳を開けたバドの先に映ったのは、まずは見慣れた自室の天井と、心配そうに覗き込む天使・・・ではなく、何よりも大事な双子の弟の泣き出しそうな表情だった。
「ようやく目が醒めたか。」
「あ?」
そしてその後ろから、やれやれと言った感じで、シドが勧めた椅子から立ち上がった悪友の声と明るい陽色の髪が視界に揺れた途端、バドはとりあえず身体を起こそうとするが、全身が緩くだが鈍く痛み、良く見ると左腕は白い包帯でぐるぐると巻かれて、首から吊り下げられている。
「痛って・・!」
「・・・頭でも打ったか?・・・まったく、いくら神の加護をかつて受けていたとしても、生身の人間だぞ我々は。」
慌てて、無理しないで下さいと言って、痛みにすくんだ体を支えながらゆっくりと起こし上げていくシドと、淡々とした口調で語るミーメに、バドは何があったかを思い出す。

・・・あぁ、そうだ。
ここしばらく、年末前だからそろそろ大掃除ムードになってきて、大雪なのもあってか、宮殿の屋根の雪下ろしをしてて・・・。
で、さっさと終わらせたくて急いでペースを上げていたら、足滑らせてそのまま落ちたんだった;

「・・・もしかしなくても、俺を運んでくれたのお前だったりする?」
確かその時一緒に作業していたのが、この悪友・ミーメだったから、ここに居ると言う事はそう言う事になるだろうが、念の為聞いてみる。
「そうだが・・・。」
「・・正直すまんかった;」
よりによって屋根から落ちて軽症とは言え怪我・・・、ここに居る二人以外には漏らす事無く墓まで持って行こうと決意する。
「いいや・・それよりも・・・。」
ちらりとミーメの薄緋色の瞳は、バドの体を起こしたまま、肩を抱きこむようにして俯いている、この悪友の最愛の伴侶とも言える彼を気遣うように見やると、先ほどまで腰掛けていた椅子の背もたれに掛けてあった上着を手にとって、退室しようとする中アイコンタクトを送る。
「あぁ、有難うな。」
「とりあえず貸しておく。」
「・・高くつきそうだけどしょうがねぇよな;」
そんな軽口をたたきあいながら、ミーメは椅子をもとあった位置に戻して、ヒラリと軽く後ろ手を振ったあと、双子の愛室から退散していく。
パタン・・と扉が閉まると、バドは相変わらずなんでもお見通しの悪友に苦笑を漏らすと、しばらくは自由の利きそうに無い左手を庇いつつも、その肩に縋りつくようにして俯くシドを抱き寄せようと手を回しだす。
「・・・っ・・・」
「え;おいっ・・!」
だが、その抱擁から振り切るようにしてバドの体から離れたかと思いきや、兄の腹の方に移動して、その上に両腕を組んだかと思うとがばっと再度顔を伏せる。
「シド・・?」
「~~~・・・っ!」
不意に、必死に声を押し殺すもののその堪えきれないように漏れる息が聞こえ、それに伴うようにして小刻みに震える肩にバドは、あぁ・・と理解する。
ミーメの居る手前、普段は自分の前でしか喜怒哀楽をはっきりと露にしない弟の張り詰めた感情が今出てきているのだと。
意識不明の報をを聞き、肝が潰れるほどに心配して、ようやく目覚めたそのことが、止まらない涙になって後から後から溢れ出るのを今は見られたくないのだと。
「・・・・泣くな・・・。」
もう大丈夫だから・・・と、そのさらさらした髪の毛の手触りを確認するように頭を撫でながら、顔を上げるようにと促すものの、今回は相当意固地になっているのか、意地でも顔を上げようとしない弟にバドは苦笑する。
「・・・っ!・・・人に心配かけといて・・・・っ!」
「・・・ゴメンって;」
涙声を隠し切れないように、半ば叫ぶような弟の言葉にバドはそれでもシドへの愛情を確認するように何度も何度も頭から移動させたその手で背中をポンポンと撫でてやる。

シドにしてみれば、一挙一動胸をざわつかせるに相応しく心捉えられた兄の身に何かがあったらと言う類の事は、もう出来る事ならば考えたくなかった。
訪れた平和の時間に、それこそおとぎ話よりも遠かった夢が叶えられた今、それをずっと叶え続けて生きたい、ささやかな日々でも傍らに兄がいてそれを幸せだと思える中で、突然舞い込んだ兄の落下事故報告に、本当に目の前が暗くなるのを感じた。
産まれた時に引き離され、そして憎まれ疎まれた果ての互いに朽ちたあの聖戦・・・、それ以外で兄を失う恐怖、二度と目を開かずにこのまま・・・・。
そんな絶望に捕らわれていた中で、ようやくバドが目覚めた時、その温もりに触れて押し寄せて来た安堵感と堪えてきた不安に混ざり合った彼への想い。
「泣かないでくれ・・・シド・・・。」
それでもやっと止まった涙と、顔を上げるように促す手つきと、心底すまなさそうに囁かれる声に、ようやく未だ涙で濡れている顔を上げ、潤む瞳で兄を見つめるくらいには薄らいだ不安。
「シド・・・・。」
低いその声で名を呼ばれながら、まだ目じりに溜まる水滴をそっと利き手で拭われながら、まるで今ここに自分が居るのだと言うことを改めて確かめるような手つきで頬にたどる指が、す・・・っと顎に辿り着くと、くい・・と優しく持ち上げられるようにして止まる。
「ん・・・・。」
その仕草で、兄が何を望んでいるのか、双子特有の意志の疎通よりも恋人として触れ合って来た時間から判断したシドは、ゆっくりと椅子から腰を浮かせて身を乗り出しながら、瞳を閉じていくバドの唇と己のそれを触れ合わせていく。
「ん・・ふ・・・。」
閉じた瞳をうっすらと開いて、お互いの姿を映し出すとまた酔いしれたように閉じて、唇から伝えていく想い。
本当にここに居るのだと言う事を確かめ合うかのごとく、バドはそっとシドの後頭部に手を添えて指先を髪の毛に絡めながら優しく押さえつけながら、触れ合っていくだけの口付けは知らずに段々と激しさを持つものへと変わっていく。
だが弟の口内の熱さを感じていく内に、生死の境をさまようほど意識を失っていたバドにとって、触れていくシドの熱は確実に興奮を高め始めていく。
死ぬほどの心配をかけて、いきなり本番に致したい等と言えば流石に怒られるかと思い、バドはシドをやんわりと離そうとするも、シドはそれを厭わないようにして、するりと兄の唇を舌先で割ってその口内に侵入させていく。
「ん・・っ!ちょ・・まて・・・・っ!」
本格的に激しさを増そうとする口付けに、既に煽られていた興奮が更に冗長するのを恐れて、バドはシドを一旦引き離す。
「どうして?」
だが小首を傾げる彼の表情は疑問に満ちたそれではなく、どこか確信犯的な小悪魔的笑みを湛えており、バドはう・・;っと言葉に詰まる。
「それは・・・;その・・・;」
見上げられているのならまだしも、今はベッドの上に腰を掛けたままでどうしても自分の方からシドを見上げなければならないのもあって、どうにもモチベーションが上がっていかない。
「だから・・・あのな・・・」
柄にもなく顔を赤らめて、ちらりと無意識に視線を自身の下半身に向けると、布団が被さっているおかげかまだ変化が見て取れるほどに目立ってはいない。
「ふふ・・・・。」
だがその一瞬と思っていたのは当人だけと言わんばかり、今度は双子特有の察しを働かせたのか、シドは静かに兄の上に被せてある掛けてあった毛布を取り払うと、夜着越しでは隠せずに居る、勃ち上がっている兄自身にす・・っと手を伸ばし布越しに触れる。
「っ、ぅ・・ぁっ」
触れられただけなのに背筋を駆け抜けていく電流の様な悦に、微かな声を漏らすバドにシドはそれは嬉しそうに微笑みながら、何時も自分がそうされているように、夜着の中にその白い手を差し入れて行き、熱く脈打つ兄自身を指先で絡み付け、掌で根元を擦りあげながら先端を刺激していくとバドはびくびくと反応する。
「ちょ・・っ、ぅぁ・・っ!待てって・・っ」
吐息交じりの抗議の声をあげながらもそれでも快楽に潤む瞳で見上げてくる兄の姿態をシドはどこか嬉しそうに微笑みながら、その瞳にそっとキスを落しながら赤く濡れた舌先で頬を模り、もう一度唇に辿り着く。
「ん・・んー・・っ!」
負傷した腕を首から包帯で吊っているため、無理はしない程度にバドの身に纏っている夜着の釦を一つ一つ焦らすような手つきではずしていき、右のほうだけを脱がしていきながら、先ほど咎められた口付けを再開する為に舌先を絡め取りながら、先走りの液に濡れて来た手を更に大きく動かしていく。
「何時も求められるだけの私ではないのですよ・・・・?たまには求められてみてください・・・ね?」
絡めあわせていた舌と舌との交わりを解くと、艶やかに伸びた細く濡れた糸が二人を繋いで儚く消えていく中、耳元でそっと囁かれた言葉を理解する前に、シドはそそり立ったバド自身に唇を移動させて、その先端をちゅっと咥えだす。
「く・・うぁ・・っ」
己の高まった欲望を口と両手を駆使して施される弟の淫らな奉仕に、ここまで積極的になったのはもしかしなくても俺のせいか;と、快楽に流されだす頭の片隅で思う兄を知ってか知らずか、ちゅぱ、ちゅく・・・・ちゅぷと、故意に音を立てるかのごとく、シドは顔を上気させながら兄自身を貪り続け時折硬くなった竿の裏筋を舌先で舐め上げながら、兄だけを慈しむ為にある綺麗なその手で扱いていく。
「ん・・、キモチ・・、んぅっ、いい・・・ですか?」
ベッドの上に乗り掛かり、無意識のうちに広げた脚の間から上目遣いに火照った顔で見つめながら、その間も愛撫する手を緩めずに訊ねてくるシドに、バドは思わずいつもの様に快楽を生み出す為に頭を固定するが、鈍く走る痛みの為に穿つ事が出来ないため、片手で弟の頭をそっと掴んで上下にスライドするように促しだす。
「あぁ・・・っ、ちゃんとっ・・、責任とってくれよ・・・っ?んっ」
「ぅ・・っん・・っく・・・」
弟の与えてくれる快楽を素直に受け取ろうと決めたバドは、それでも痛みが無い程度に腰を突き出して、シドの喉の奥にまで熱く滾る先端を抉ってはまたその口内の熱さを堪能し、シドは口腔を犯してくる兄自身に苦しげに声を上げるものの、それでも体内にバドを取り込みたくて先端から徐々に零れ出てくる精に少しだけ咽ながらも、先端に軽く歯を立てながら強く吸い上げながら、根元とそこを飾る二つの膨張した球も強く刺激していく。
「う・・ッ、ぁ・・っ、シド・・・っ!!」
「んんっ・・!」
一瞬きつく瞳を閉じて身体が本能的に跳ね上がったのと同時、バドの精は、シドの喉の奥の奥まで勢い良く大量に放たれていった。
「く・・はっ・・、けほっ・・」
それでも一滴残さずに体内に取り込もうと、ごくんと喉を鳴らして飲み込んで、唇の端から零れていくものでさえ、指先で拭っては飲み込もうとするシドを、バドは堪えきれないほどに愛しい目で見つめていた。
「あ・・・、その・・・///」
その視線に気がついたシドは、荒げていた息を整えながらあまりそんなに見ないでと気まずそうに顔を赤らめて、兄の身体を拭かなければと思い、ベッドから立ち上がって洗面台に向かおうとするが、それを阻んだのはバドの右手だった。
「シド・・・、こっちにおいで?」
「え・・・?」
手首を掴んだまま、目線だけで自分の胸の上に跨るように訴えをシドは、戸惑った色の瞳で返答する。
「俺だけ気持ちよくなるのは不公平だろう?」
俺のお願い聞いて?と、小首を傾げて囁かれる、どこに隠していたのかと思う程の甘い声と兄の確信的姿に、あっという間に堕とされていく弟。
「・・っ、ん・・・。」
こくん・・と、微かに頷いて、一枚一枚服を脱いで行き、白い肌を露にしていく過程ですら一時たりとも見逃さない兄の視線に晒されて、それだけでシドは達してしまいそうになる。
自分から欲しがったとは言え、いくらなんでも怪我人に対して最後までして欲しいとは言えなくて、それでも兄の熱を取り込むだけで満足していたのにこんな風に強請られて、断れるはずは無い・・。
第三者から見れば間違いなく兄に甘すぎだと口を揃えるだろうけども、同じ事はバドにも言えることで。
「っ、あっ・・!」
ぎし・・と、二人揃って眠る大きさのベッドの上に横たわるバドの胸上に、微かに足を広げて立て膝で跨った全裸の弟の、熱くなり始める欲情にちゅっと口付けただけで、びくびくと身体をそらせて行くシドに、バドは更に要求やんわりと突きつける。
「なぁ・・、自分でここ、掴んでいてくれないか?」
「えっ!?や・・っ!」
返事を待たないで、利き手でシドの白い手を取ると、自分の手ごと弟自身の根元を掴みあげて支えたかと思うと、そのまま上下に扱いていく。
「やぁっ、そんなっ・・ああっ」
先端を軽く噛まれながら、自身を兄の手越しとは言え自分で擦り上げて行きながらも、兄の口内は硬くなっていく茎まで深く咥え込まれて行く目も眩むような快楽にシドは、どうにかして空いている手でバドの頭を引き離そうとしながら、自身を握りこむように促す兄の手の拘束から逃れようとするが、それは叶う事無く。
「ああっ・・ああ、ん・・っ!」
既に兄のを咥え込んで高めだしていた最中から熱を孕んでいたシドの身体は、バドの倍返しとも言える愛撫にあっという間に快楽に浸らされていく。
「はぁっ、んあ・・っ、あぁあ・・・・っ」
バドの自身に添えられていた手は離れたものの、その手は支えを放棄する事無く、ひっきりなしに上下に小刻みに動いているのを確認したバドは、トロトロと先端から伝っていく蜜を指先に掬い上げて、腰から後ろに手を回し、ぐっと双丘を開かせる。
「ん・・ぁ・・く・・っ!」
ずぶ・・・と、バドの長い指が、熱く蠢く弟の内部へと押し入っていき、入り口から奥に掛けて敏感に感じる柔らかい肉壁に丁寧に触れていきながら、奥まったシドの悦部に辿り着くと、ぐぐ・・っと半回転させた指で抉るように触れてやる。
「ああぁっ・・、に・・さ・・っ!」
びくんびくんと跳ね上がっては快楽にくねりだす、薄紅に染まった白い身体。
シド本人の手で支えられて動かされていく弟自身を、根元から歯を立てて舐め上げては、先端に辿り着き強い位に吸い上げて舌先で弄んではまた深く咥えこんでやると、後ろの道すじもそれに呼応して開かれていき、二本、三本と増えて繰り返し繰り返し奥へ奥へと抽挿していく指使いの激しさが増すごとに、零れていく淫音と嬌声と息遣い。
最初はためらいがちに動いていたシドの手が、段々となじみの深い快楽を引き出されることによって、その早さは高まり、知らず腰も揺らめきだす。
「やぁあっ、あぁ・・っ、も・・、いくぅ・・!」
一際高い声を張り上げて、一度大きく体を痙攣させて達していく弟の、先ほどの自分と同じように勢い良く迸らせる熱い精をバドは余す事無く受け止めていく。

「ふぁっ・・は・・ぁ・・っ」
はぁはぁと息を荒げながら崩れ落ち、そのまましなだれかかる弟の身体を腰から抱きしめながら、バドはそっと耳元で囁きかける。
「シド・・俺の上に乗って?」
「えっ・・・?」
ぼんやりとする意識がその声によって覚醒はしたが、その言葉の意味することが判らずに大きく目を瞬かされる。
兄の視線につられてそちらを見ると、またもや熱を持って成長した自身を目にしてシドは真っ赤に顔を染めた。
「で・・も・・・っ!」
言葉を濁そうとしても良い言い訳など思いつかないシドに、バドはついっと耳元に唇を寄せて、その柔らかい耳たぶをかぷ・・と甘噛みしながら言葉を続けた。
「あっ・・・」
「俺的にはお前の中に入れないほうが辛いんだけど・・・?」
だめ?と、シドの弱みを熟知したような上目遣いと声音と表情に、弟は躊躇うものの、~~///悪化しない程度ですよ?と小さな声で妥協してから、それでも兄の負担にならない様に片手をバドの肩に乗せ、もう片手をベッドの横たわる彼の脇に広がるシーツを掴んでゆっくりゆっくりと呑み込み始める。
「ん・・ん、あぁあっ」
充分に潤って開発された秘所に、自分の嬌態によって育て上げられた熱い兄自身を、自身の重みで貫かれていく快楽に、シドの桃色に染まった身体は先端の切っ先が入っただけでびくびくと震えだす。
「あっ・・ああ・・っ、に・・さんっ」
だが、シドの腰に添えられていたバドの手がシドのまた勃ち上がりだす自身に伸ばされてやわやわと扱かれていくごとに、シドの秘所も解けていき、バド自身は根元までシドの中に入り込むことに成功する。
「あっ、はぁ・・っ」
狭く熱い肉壁に心地良く自身を締め付けられ、その度に内部で膨張して行く自身を感じてか、シドはその快楽に荒く呼吸を継いでいる。
「ほら・・シド・・・、動いて・・・?」
それでもどうにか呼吸を整えて幾分か落ち着く弟の腰を片手で掴みながら、ゆらゆらとゆっくりとその体を揺さ振り始めた。
「あ・・あっ、ん・・あ・・・っ」
何時もよりも遅い律動であっても、下から貫かれている体位ではとてつもないほどの悦楽を促進され、シドは身悶えながらも、ゆっくりと出来る限りのペースで身体を動かしていく。
それでも確実に、シドが動くたびにバド自身は熱い弟の内部の肉壁にびくびくと締め付けられては膨張し、それによって更に熱く滾る先端が弟の奥の奥にある前立腺を突いていき、そうするごとによってますます逃れられない気持ちの良過ぎる悦循環。
「あ・・んぁ・・・あぅ・・っ、あ・・つい・・、あぁっ」
ぎしり・・ぎしぎしと生き物様に軋む寝台と、下から伸ばされたバドの手が胸の上を飾る突起に触れて弄っていくのも手伝って、色濃さを増す快楽に段々と崩れ落ちていくシドの身体。
「に・・さん・・っ、ああぁっ・・」
「シド・・・・、シ、ド・・・っ!」
自らの上で腰を動かして、誰よりも綺麗で淫らな弟の、そっと倒れこもうとする身体を片手で抱きしめると、口付けを強請るように喘ぐ唇に、その嬌声を飲み込むほどに激しく舌を絡ませながら、バドも無意識のうちに腰を上下にスライドさせて行く。
「んぅ・・く、は・・ぁあっ、にいさっ、ああー・・・っ!」
突如下から突き上げられて押し込まれた兄の先端が、悦部を強く刺激した事でシドは何も考えられないまま、白く思考を霞まされながら、びくびくんと兄の上に全ての熱を吐き出して、バドもまた弟の深い部分に二度目の絶頂を迸らせていた。




「・・しかし何と言うか・・・。」
「なんだよ・・・?」
一夜明けて珍しく晴れ渡った空の下、残りの雪下ろし作業にかり出された兵達とは少し離れた屋根の上にスコップを手に持った男二人。
「昨日の今日で回復するとはな・・・。」
ざくっと、固くざらつき始めた雪にスコップを振り下ろして、少し汗ばむ額を拭うミーメ。
雪の上に落ちて軽度の捻挫と打撲とは言え、時間にして半日。もう職場復帰しているバドを半分呆れたように見やりながら、それでもほっとしつつ正直な気持ちを述べた。
「君の生命力はゴキ・・否、獣並だな・・・。」
「おい、そのあとは何だ?」
例えラグナロクが起きようとも、核戦争が勃発しようとも生き残れるとされるが、全人類からは大いに嫌悪される生命体に揶揄されて、二人の間に不穏な空気が流れる。
「・・・でも・・まぁな・・・・、俺には守護天使が居るから。」
が、そんな軽口を叩き合うのが二人の関係であるのでバドはさっとスルーして、惚気としか聞こえないさらりと吐き出す。
「・・・ああ、なるほどね。」
時々この男はロマンチストなのかそれともただの変人なのか判りかねるミーメだが、いたって本人はことにシドに関しては大真面目なので多分天然的なのだろう・・・と思うと、自然にくすりと笑みが漏れた。
「あまり心配はかけてやるなよ・・、一応私も君が居なくなったらそれなりに寂しいからな・・。」
「それなりにって・・・・;でも、お前にも心配かけちまったな」
そんなやり取りを繰り広げている二人の居る屋根が見渡せる渡り廊下で、その噂の天使がくしゅんと小さくくしゃみをして、元気になった彼とそれを案じている悪友の小さな姿を、年末に向けて忙しくなる業務に追われながら足早になる足を止めてその夕日色の瞳を眩しそうに細めながらも、どこか嬉しそうに見守っていたのだった――・・・。






BGM:大塚愛「恋愛写真」




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