キジュンテイシソウチ

キジュンテイシソウチ・・・。



愛しています・・・、愛しています。
どれだけ言っても満ち足りない、貴方への想い・・・。

「ふ・・・っあぁ・・・ッ!」
日が落ちた部屋の中で、今夜も私達は、お互いを貪りつくす。
「シド・・・。」
熱い吐息を入り混ぜながら、バドが耳元で囁く。そして、散々慣らされたその場所にゆっくりとバドが入ってくるその感触に、 痺れる様な快楽が身体に走り抜けていく。

この瞬間が一番好きだ。

このまま、ずっと一つで繋がっていられるような錯覚に陥るような恍惚感を感じられるから。
でも・・・。それでも・・・。
「シド?」
不意にバドが動きを止め、私の方を心配そうに見つめてくる。そんな彼を愛おしく思う反面、どうしようもない焦燥感に捕らわれるのもまた事実だった。
そんな気持ちを悟られないように、私は腕を伸ばし、そのままその手を彼の背中に絡め、その先の快楽を追い求めて、そして墜ちていった。

夜中、ふと目を覚ますと、バドが隣で寝息を立てている。
同じ顔、同じ身体の双子の兄に、こんなにも激しい感情を抱くなんて・・・。
その同じ色の髪の毛を優しく撫でて、ぼんやりと思う。
血の繋がった双子であっても、私とバドは他人なのだ。
そうであるからこそ、こうして抱き合える事が出来る。でも、もし・・・。
「ん・・・。」
不意にバドがかすかに身じろぎ、その手を離した。
その、普段なら考えられないほどあどけない、寝顔を見ているうちに、先ほど感じた靄がかった感情が、ムクムクと湧き上がってくる。

もし、貴方が、私を置いて去ってしまうと言うのならば・・・。
私は、きっと貴方をこの手で殺めてしまう・・・。
でも、そうすることによって、血の涙を流すくらいの後悔に襲われる事も判っている。
いっそ、このままバドと一つになってしまいたい・・・。

彼の首筋に添えていた、右手をそっと滑らせ、彼の肩に回し半開きになったその唇に静かに口付けた。

愛しています・・・、愛しています・・・。

この手にかけてしまいたいほど、一つになりたい兄に対しての想いを伝えるこれ以上の言葉がどうして見つからないのだろう・・・?
それでも、私は貴方に伝えるだろう。愛情と狂気を込めて。


「貴方を愛しています・・・。」




戻りますか?