結婚とはかつて、家と家との結びつき、子孫繁栄の手段だった。
今は本人達の意思を尊重をして自由に結婚が出来るし、しないのも自由である。
昔を知り、望まぬ結婚を課せられた者達からすれば、今の結婚制度はまるで夢のような話だろう。
だけどいついかなる時代でも、大勢の者が享受している夢を叶えられない者達が一定数いる。
窓際の席から見える、アイツのクラスの授業風景。
グラウンドで友人たちに囲まれてにこやかに談笑しているアイツは、”今”も”昔”も人々に囲まれて、煌びやかな存在を放っていた。
大勢の弱い人々を導く教祖として、上弦の弐を頂く強者として。
そして今は見ての通り、スクールカーストの上位として君臨している。
だけどアイツ自身の気質の根本的な部分は変わっていない。
かつての記憶を持って生まれても、俺に構い倒してくるアイツ。
アイツに感情が芽生えたこと、そして俺自身の持つ弱さを認めたことで昔よりも幾分かは友好な関係を築けてはいる。
やがて俺に気づいたアイツが底無しの笑顔で、大げさなくらい両手を振ってくる。
周りの友人たちはそんなアイツを見て、『あー、』というような達観した生ぬるい笑顔を浮かべていた。
そんな間抜け面を見ながら俺は、呆れたような顔を取り繕いながら、どくどくと高鳴る鼓動をひたすら無視し、追い払うかのような動きで控えめに手を振ってやる。
それでいい、それだけでいい。
これ以上関係を発展させることは望まない。望めないのだ。
夫になる人:頼田猗窩座
妻になる人:✕✕童磨
授業中配られた婚姻届けに、無表情のまま俺とアイツの名前を書いた。
俺はごっこ遊びにもならない馬鹿馬鹿しい願望を込めたそれにワザとに消しゴムを強くかけて引き裂くと、新たな婚姻届けを教師から貰い受けた。
BGM:愛の旋律(DQ5)
スロットメーカーから
『授業中 無表情のまま 結婚式ごっこ』より。
授業中に結婚式ごっこってめちゃくちゃ難易度が高いなと思いつつ、遥か昔の授業を思い出し授業中に婚姻届けを書くという流れにしました。
今だとネットで調べればすぐなので、こうした内容の授業は無いのかなとは思います。
ちなみに座殿の苗字についてですが、素山姓って多分恋雪ちゃんの方だと思うんですよね。で、狛治殿と双子設定なら普通に彼は婿養子に行ってもおかしくないと思ったので。
続き
|