ねぇ、猗窩座殿。覚えているかい?
一緒に暮らし始めて、一緒に入りたいお墓のパンフレットを見ていた時のこと。
あなたはある霊園の写真を指してこう言ったよね。
『ここがお前の墓場だ』って。
正直言うとあの時、俺は少しだけ心がざわっとしたんだ。
まだ俺と猗窩座殿の間には温度差があるのかなぁって。
何だかんだで”昔”に再血戦をしていなかったからそれをしたいのかなぁって。
それならそれでいいかなって思ったんだけど、でもそういう意味で言ったんじゃないんだってこと、真っ赤な顔をしながら手を握ってきたあなたを見て分かったんだよ。
『一緒のお墓に入りたい』っていう、あなたらしいプロポーズだったんだよね。
笑うなって? ふふ、ごめんよ。
でも本当にその通りになるなんて、なんだか不思議な気持ちだなぁ。
それだけあなたが真剣な気持ちで俺に寄り添ってくれていたっていう結果でもあるんだよねぇ。
うん、それはすごく幸せなことなんだって、たくさんあなたから貰ったんだってずっと噛みしめていたけど、今、この時になってもっとそれを感じるんだ。
なんていうのかな? 幸せ預金に利子が付いたような感じで。
ふふ、そんなに照れないでおくれよ。
…ああ、そうだよね。ごめんね。
あなたにはもっともっと笑っていてほしいから。
もっともっとたくさん幸せでいてほしいから。
いつかまた誰かを求めて愛し合える人ができたら、迷うことなくその人を選んでね。
ふふ、そんなこと言わないで猗窩座殿。何年経とうともあなたの魅力はちっとも褪せていないから。
ただ、ね…。
いつでも、いい。一年に、一度は…、どうか…、俺のことを想ってほしい…。
ね、猗窩座殿。なかないで…。
笑って…、あかざどの…。
…ありがとう。
うん…俺も…
…あなたのことをずっとずっと、愛しているよ…。
おやすみ…、またね…、猗窩座殿…。
今度は俺が待っているから…、
どうかゆっくりこちらに来ておくれ。
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