生まれ変わってもお前に会いに行くと真面目な顔をしてあなたは言う。
「そんな先のことを一時の勢いで言っちゃうのはどうかと思うよ」
だって俺たちはまだまだこれからだろう? たくさん美味しいものを二人で食べて、一緒の景色を見て回って、春夏秋冬を二人重ねて、そうして歳を重ねていくんだ。
そう言った俺の手をあなたはギュッと握りしめながら、真剣な顔を崩さずに更に言う。
「そんな先のことではないだろう? 俺もお前も悠久の時を生きていくと確かに思ってた」
そう言われてひゅっと息を飲み込んだ。そうだ、〝昔〟は俺たちがたかが人間に負けるだなんて思っていなかった。
死ぬ間際にまで何の感情も沸かずそのまま無に帰すと思っていた俺の概念は死後に覆された。
蟲柱のあの子に感じた胸の鼓動はあっという間に消え失せたけど、あなたに地獄の手前で再会して親友になろうと言ってくれて、奇跡は本当にあったんだと心から思えた。
そうして奇跡の恩恵に預かり、生まれ変わった現世で〝昔〟の記憶を持ったままあなたと再会して、関係性を発展させてずっとずっとこの生活が続いていくと何の疑いもなく思っていた俺は随分と楽観的になったものだ。
「お前に何度でも出会うためなら、予約は早いに越したことはない」
握られていた手を持ち上げて、あなたはそっと指先に唇を落とす。
ちゅっとリップ音をたてて唇が離されたかと思うと今度は手の甲に移動する。
「絶対に俺はまたお前に会いにいくから」
そう言って唇を離して真っ直ぐに俺を見つめる向日葵の瞳。
ああ。確かにそうだね。
ブーゲンビリアの鮮やかな髪もキラキラとした瞳も、俺を呼ぶ声も熱い愛情も、全部全部当たり前に降ってくるものではなくて。
俺との約束を果たしてくれた真面目なあなたが惜しみなく注いでくれたものなんだってことを忘れてしまっていた。
あなたの俺への想いがずっと続いていくなんてこと、当たり前に甘えてちゃ駄目なのにね。
「猗窩座殿…」
俺の手を取っていたあなたの手を今度は俺が取る。
「俺もね、またあなたに会いに行くよ」
そうして感謝を込めて指先に、約束を果たす誓いを込めて手の甲に口付ける。
「上出来、だな」
ニヤリと悪戯っ子のように笑うあなたの顔は懐かしくもあり新鮮でもあり。
「じゃあ…」
繋ぎあっていた指先を絡められ、もう片方の手も差し出すように促され、両手をしっかり繋がれる。
「生まれ変わってもまたお互いを見つけられるように、もっとその絆を強固にしようか」
そう言いながら近づいてくるあなたの顔。反射的にゆっくり目を閉じると薄くかさついた熱い質量が唇に重なる。
ん、ん、と吐息を洩らしながらもまた新たに積み重なっていくあなたとの時間と愛情。
知れば知るほどあなたが大好きだという気持ちが降り積もって、大切にしたいという気持ちにこれからもずっと満たされて、次に会える礎になれば良いと想いながら、俺の身体は猗窩座殿の腕に強く抱き締められていた。
生まれ変わりに早いも遅いもないし早い者勝ちなので予約しておきましょーねーという話だったらしい\(^0^)/
というかこの話、TwitterのTLに流していたのですが何を考えて書いていたのか全く思い出せないです((((;゚Д゚))))
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