猗窩童と狛恋夫婦の子供とのハロウィン

※狛恋は出てきません
※オリジナルキャラが出ます

「あー! あかざおじちゃんにどうまお兄ちゃんだー」
「いらっしゃーい、待ってたよー」
 木造平屋建ての広い一軒家にて。とてとてと小さな足音を立てながら走ってくるこれまた小さな二つの影に白橡の髪を持つ青年は破顔する一方で、筏葛の髪を持つ青年は仏頂面で出迎えを受け入れる。
「やあやあ来たよ。恋狛こはくちゃん、治雪はるゆき君」
「おい、何度言ったら分かる。俺はおじちゃんなんて年じゃない。童磨よりも年下だからお兄ちゃんと呼べ」
「「えー」」
 口をそろえて不思議そうな声をあげる双子の兄の子供たちにこの野郎と猗窩座のこめかみが大人げなく引くつく。
「だってどうまお兄ちゃんはおじちゃんってかんじしないもん」
「うんうん、だからといっておばちゃんじゃないし」
「「だからお兄ちゃんでいいの」」
 ねー?と顔を見合わせながら合意する双子に、当の童磨は子供って本当愛らしくて残酷だなぁと思いながら、両親の面影を色濃く宿す双子の頭を柔らかく撫でた。
「二人とも。猗窩座殿の言うように俺がお兄ちゃんなら俺より年下の猗窩座殿だってお兄ちゃんだし、猗窩座殿がおじちゃんなら猗窩座殿より年上の俺もおじちゃんだよ」
 折角なら猗窩座殿とお揃いの呼び方が良いなぁと、恋狛と治雪の目線に合わせながらそうお願いした甲斐あってか、双子の姉弟はうーんと考えて、分かったと頷いた。
「じゃあどうまおじちゃんって呼んでいい?」
「もちろんだよ! 俺も君たちのおじちゃんになれたみたいで嬉しい♪」
 そんなことを言いながらぎゅっと双子をハグするときゃー♪と嬉しそうに歓声を上げる童磨を見ながら猗窩座はジーンと胸を打たれながら顔を掌で覆い天を仰いでいた。
「俺の嫁最高かよ」
 そんな猗窩座の様子を童磨の肩越しでしっかり見つめていた彼の姪甥は、叔父の伴侶へのラブっぷりを見ながら自分たちの母親にとにかく紳士的でベタ惚れな父親を思い出し、血は争えないなぁとしみじみ感じたという。

「ところで狛治殿と恋雪ちゃんは?」
 童磨がそう訊ねると双子たちは顔を見合わせながら交互に答えた。
「まだ道場にいるよ」
「今日はハロウィンだからかぼちゃのおしるこ作ってみんなに振る舞っている」
 恋狛と治雪は父親からは素流の手ほどきは受けてはいたが、やってみた上であまり興味がないことを両親に伝えているため、道場生に混じって稽古を受けることはない。なので狛治が大会前などで遅くまで稽古をつけている際は母親の恋雪と共に先に夕餉を取ってはいるが、こういうイベントごとの場合は話が別だ。恋狛と治雪も習い事や児童会で催される行事を楽しんでいるのでそのことには不満はないが、たまたまハロウィン間近に猗窩座が童磨を伴って帰省をしようと持ち掛けたところ、童磨からじゃあハロウィンに合わせてみないかい?との提案がもたらされ、狛治と恋雪にも確認を取ったところ、子供たちも快諾してくれたのでこうして訪れたというわけだ。
「じゃあいい子にしていた二人にはお菓子をあげようね」
 ガサゴソとショルダーバッグの中から取り出したのは、透明な袋に入れられた少し大きめのパンプキンボックス二つ。それを二人に手渡せばたちまち歓声が上がるのを童磨は虹色の瞳を細めながら眺めている。
「ありがとう!童磨おに…じゃなかったおじちゃん!」
「どういたしまして。でも猗窩座殿も手伝ってくれたからお礼を言うのは俺だけじゃないよね?」
「あっ、そうだった! あかざおじちゃんもありがとう!!」
「…どういたしまして」
 子どもたちを相手にする童磨があまりにも聖母すぎて脳内フィルターの中にポーカーフェイスを保ちながら叩き込んでいた猗窩座だが、何だかんだ言いつつ可愛い姪と甥に礼を言われて満更でもない返答をする。
「だが、ハロウィンと言えばあの挨拶はしないのか?」
「ん? どんな挨拶??」
「ほら、菓子を寄越さなきゃいかがわしいことさせろとか言う」
「もしかして、トリックオアトリートのこと? ていうか猗窩座殿それは流石に曲解しすぎ…」
 子どもたちの前で何を話していると思わないでもないが、肝心の双子は大好きな叔父カップルからセレクトされたパンプキンパイやクッキーやチョコレートにキャッキャと喜んでいるので、さほど騒ぎにはならなかった。

 

 

書きたかったのは恋人の甥とか姪にお兄ちゃんと呼ばれるどまさんとおじちゃん呼ばわりされる座殿です。はいバレバレですね(*ゝω・)b
ちなみに狛恋夫婦は隣の道場でかぼちゃのおしるこを振る舞っているので留守にしている設定です。
あと恋狛と治雪の年齢は大体6~7歳くらいの二卵性の双子。恋狛が姉で治雪が弟です。
こちらもしばらく続けようかと思いましたがネタが浮かんでこないのでこっちにぶちこみました。

 

 

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