「改めて見るとこのサイト、めちゃくちゃ人を選ぶ前提条件で成り立っている菓子作りを紹介しているなぁ」
味は良好、いい具合にサクサクしている種入りパンプキンパイを食べながら、猗窩座は件の紙の束を手に取って眺めながらふとそんなことを言った。
アツアツのパンプキンパイは栄養はもちろんお互いの愛情もたっぷり詰まっているので何個だって食べられると言わんばかりの食べっぷりをホワホワしながら眺めていた童磨は、え? という表情になる。
「そうなんだ。時短になるっていう文字に惹かれてあまり見ないで印刷しちゃったんだよねぇ」
早く猗窩座殿にパンプキンパイを作ってあげたかったからうっかり見落としちゃったと苦笑する童磨に、猗窩座の心臓は今年で通算313回目の恋のバズーカ砲にぶち抜かれた。
「ん゛ん゛ん゛っ!! ま、まあ世の中にはいろんな奴がいるからな…お?」
ズキュウウウウウウンと高鳴る心臓の音を誤魔化すようにして紙の束に再び目を落とした猗窩座がふと何かに気づいたように声を上げた。
「どうしたの猗窩座殿?」
何だろう何だろうと思いながら向かいに座っていた童磨が身を乗り出せば猗窩座も見えるように軽く腰を浮かせて紙を見せて、ある文字の羅列を指で指示した。
「このサイト、動画もある」
「へ?」
目を凝らしてよく見ると確かに豆粒程度の文字でy〇utubeのURLが記載されていた。
「あ、じゃあ先にこれ見ればよかったのかぁ」
本当に俺先走っていたなぁと苦笑いする童磨に、いや、これは普通に見落としていてもおかしくないと猗窩座がフォローする。
「作った後で複雑だが、今からでも見てみるか?」
「うん」
というわけでパンプキンパイをあらかた平らげた二人はリビングのソファに移動してタブレットを起動させる。
件のサイトからURLに飛んでみれば、タイトルロゴが出てきたと思えば、何故かキッチンではなくだだっぴろく広い部屋が映し出された。
それはまるで道場のような内装で、猗窩座は思わずピシリと固まる。
「猗窩座殿?」
隣に座る猗窩座の様子が変わったことに気づいた童磨はどうしたんだろうと心配そうに顔を覗き込む。
「あ、ああ…何でもない、うん」
自分の目の錯覚であることを願い、猗窩座は童磨が用意してくれた温かいほうじ茶を口に含む。
まさかな、うんまさかだ。
まさかこの動画に映っている場所が兄夫妻の家の隣に隣接する道場なんてことは…。
「おーおーよく来たなぁ。ここに来たってことはお前も素手でカボチャをたたき割る腕前に自信があるってことだなぁ」
「ブフォォッ!?」
「猗窩座殿ーーーーー!?!?!?」
だが現実は無情であり、満面の笑みで現れた兄の妻である恋雪の父親であり頼田兄弟の徒手空拳の師範が満面の笑みで現れたことにより、猗窩座は落ち着かせるために口に含んでいた茶を思いっきり吹き出すこととなる。
それから血相を変えた猗窩座が兄である狛治に電話をかけ詰め寄った結果、彼もまた似たようなことをしているため、たまたまスマホデビューをした慶蔵がSNSにアップしたところ思いの外バズり、娘夫婦と同様に腕に自信のある漢たちのために立ち上げたサイトと動画であったことが明かされたのだった。
鬼時代の二人は圧倒的にどまさんの方が上位でしたが、現パロでは座殿の方がつよつよになってきているのは気のせいではありませんw
個人的にはまさかのオチが気に入っています。やはり双子だなぁと書いていて思いました\(^0^)/
いずれ狛恋と猗窩童の突撃おうち訪問編も書いてみたいなぁ(*´∀`*)
ちなみにSS名刺で元ネタのコピペをざっくりアレンジしたのも載せておきます。
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