Beauty・・・Sane Chird




Beauty・・・~Sane Chird~


パシッ パシンッ。
乾いた音と一緒になって、熟れ爛れた音が後ろの方から聞こえてくるのと同時に、ソコからあなたが繋がって、私は獣の様に這い蹲って、嬉しいのか悲しいのか何なのか判らない涙を流しながら、自分の身体の下、白く広がるシーツを両手で引っつかんで鳴きじゃくる。
「ぁああっ、んぁっ・・!」
乾いた音は、小さな小さな頃においたをする子には当然の事よ?彼女が囁きながら、固い木で出来たテーブルの四足に手足を縛り付けられるようにしてうつ伏せに投げ出される事を強要され、ズボンをずり下げられてむき出された尻を打つあの音に酷似していた。
悪い子はこうして痛い目に合わされて当然の事のなのよ?と言う母親の弁に倣うと、じゃあ私は生まれた時からもう罪を犯している悪い子・不義の子なのだから、他の事は違って許されることの無い子どもなのだから、そのしなる鞭が叩き折れても尚打たれ続けるんだなと、唇を噛み締めて考えていた頃。

「ふぁ・・・ああぁっ・・・!」
パンッ パシンッ。
「もっと・・声上げて鳴いてみろよ?」
パンッ パンパンッ 
フラッシュバックする過去の記憶と現在の快楽の狭間の中、熱い熱いあなたの吐息がかる声が耳元で囁かれて、頭の芯まで届く。
ベッドの上で軋む、互いの肌を打ち付ける乾いた音と、中に入っている熱いあなたと結ばれている部分から響く水音が、私をいっそう興奮させて、撓る身体に合わせて突き上げられるたびに漏れ堕ちる声。
「ぁあっ、もっと・・・ん、もっとぉ・・!」

悪い子はこうして裁かれるのよ?
悪い子は、こうして・・・・。

うつ伏せに組み敷かれる身体の前に、不意にまわされた腕の力で、抱き上げられてそのまま後ろから膝の上に乗せられる体勢に変わる。
「んああっ・・・」
熱く硬いあなたの欲望を更に奥まで銜え込んだ私の首筋に這わせられるあなたの唇と、胸から首筋に移動してそのまま締め上げるように置かれた長い指のあなたの手錠。

――じゃあ、これは・・・?

「シド・・・ッ、」
熱く低く名前を呼ばれるその声が持つ甘さと一緒に、沸きあがっていくのは忘れてしまっているもう一つの。
身体は後ろ抱きのまま繋がったままで、顎にかけられた手で不意に顔を半分だけ後ろに向かされて重ねあわされた唇同士。

――これは、なに?

「ふっ、ぅん・・・ッ!ぁ、はぁ・・っ」
身体を揺さ振られながら与えられていく口付けは、窒息寸前まで繋げられて、結局離れていった唇を結ぶのは銀の煌めく細い濡糸。
「ぁあぁ・・・っ、あぁ、バド・・・にいさ・・ッ!」
きつく瞳を閉じて、前に回されて弄られていたソレからぼたぼたとあなたの手に汚濁を吐き出すのと同時、あなたの粟立つ情欲が私の内部を満たしていく。

――これは・・・・。



荒い息を整えながら、あなたは私の身体を向き直して、きつくきつく抱きしめる。
「俺を離すな・・・。」
泣き出しそうなその声が、先ほどの行為の激しさに秘められる背景で、私はその背に腕を回す。

――これは罪?


「俺から逃げるな・・・。」
逃げはしないのにどこにも行かないのに、言葉には何も力も保障も持たないことを私は身を以ってあなたに味わわせてしまっているから、ただ黙って抱擁を繰り返す。



あぁ・・・。
私はどこまで行っても、あなたにとっては“イイ子”にはなれない出来損ないで。
それでもあなたの視界に捕らわれて、あなたの存在の中だけで踊りのたうつ事を決めたから。
どうかあなたは私を罰するようにして抱く事を、私を欲しながら縛り付ける事を止めないでいて――・・・。












――それとも・・・・、



――――蜜?








Beauty・・・B














BGM:COCCO『ザンサイアン』より“Beauty C”


戻ります。